新しい分かり方


新しい分かり方

「わかる」ってなんでしょうね。CMから「ピタゴラスイッチ」、東京芸大での教育・研究まで、「分かる・伝える」を追究してきた著者の集大成です。

ないはずのものが「あるように感じる」のはなぜか、見方を変えると「はっとする」のはなぜか。CMや広告など時間やサイズの制約がある中で表現を追求するってこういう事なのか、ここまで気を配るのか、という思いです。

写真が多い本書ですが、私が一番気に入ってるのは読み物で
「10年文通しかしていなかった人が、実はその10年の間に病で声を失っていた。気づかなかった数年間の手紙は私の中で彼女の元気な声で再生されていた。声は生きていた。」
という「見方」に関するところ。

10年会っていない友だちは夢の中に当時の姿で出て来るしね。

「はっ」とする事が1つあったら、その裏にはクリエイターの何重もの努力と、またちがった「はっ」とした見方が10個はあるんじゃないのかな。そんな気持ちです。

再読してまた違った見方を発見するのも楽しみです。

価格の掟


価格の掟

価格コンサルティング会社っていうのがあるんですね。まあ、あるか。
BtoBのプライシングの本ですが、「なんで人は値段を目にすると直感的に”高い””安い”と感じるんだろう」という疑問が手にとったきっかけ。
その直接的な答えが書かれている本ではないが、色んな視点が得られましたね。
価格付け=アートとか。

先日自転車を買ったのですが、その売り方にとても感動しました。
5万の自転車が税込39,800 で売られていて目を引いたのですが、結局ライト・カゴ・(そのブランドの)保険等買って5万超えました。
全部込み5万で売り切るより、アクセサリや付加価値を顧客に選ばせて満足もさせ、利益も得る。

提供する側は利益重視一択戦略で良いと思います。

 

月と六ペンス


月と六ペンス

最近Kindle Unlimited(月額読み放題)で昔読んだ小説を読み返しています。
その一冊がこれ、ゴーギャンの一生をモデルに描いたフィクション小説です。

イギリスで何不自由ない株式気仲買人だったストリックランド(ゴーギャン)が40歳にして突然家族を捨てパリへ。そこでホームレス同然の暮らしをしながら画を描き、やりたい放題、心配して様子を見に来た友にも冷たくで小馬鹿にした態度をとります。
その才能を認めて世話を焼いてくれた画家の知人の妻と不倫し、捨て、ホームレス同然の暮らしをしながらタヒチに逃れ、晩年に病に冒されながら求めた美を大成する様子をストリックランドの知人としての小説家(私)目線で描かれています。

家族の裏切り、不倫、冷徹さ、芸術家の放蕩生活、ドロドロの昼ドラのようなキーワードの小説なのに、読み終わった後はとても清々しく清廉ささえ感じました。

なぜこの小説を13,4歳だった当時の私が呼んで面白いと思ったのかということが謎です。当時シャーロック・ホームズが好きだったからイギリスを舞台に友人目線で描いた小説だから気になったのか、後半ハンセン病を患っていく様子のグロテスクな描写が好きだったのか。

パリ、ロンドン、南国の景色を思い描く力も、不倫、脱サラ、闘病などの情熱を推し量る人生経験もなかったはずなのにね。

今は多少経験を積んで、不倫、脱サラ、難病、放蕩が与えるインパクトを当時より知っているし、異国で大人ひとりが生きていくことの難易度をもろもろのリスク込みで見積もりできるようになった。(と、思い込んでいる。)

20年後に読み返したらどんな感想をもつんでしょうか?

20年前の読書感想文は残っていないので、2017年の感想文は残しておこう。